SUZUKA4HOURS…Case of THR

鈴鹿4時間耐久レースからもう1ヶ月が経とうとしています。

 

なんやかんや終わってからも片付けないといけないことが山積みで,記録も書かないといけないなぁと思いながら今に至ります。

 


《レース結果》

チーム名:平成レーシング&Rise&美吉金属&STAR CLUB

予選:33位(片岡ベストタイム:2’24.860,花戸選手ベストタイム:2’25.590)

コンディション:ドライ

決勝:34位(片岡ベストタイム:2’32.553,花戸選手ベストタイム:2’37.954)

コンディション:レイン ※台風

車両:YZF-R6(2010)

ライダーブルー:片岡亮太 ライダーイエロー:花戸昭洋

チームメンバー:高光智之 角山恵介 吉村拓也 飯嶋祐介 瀧希 田中敬祐 田中久 田中力 杉本友美

 


 

7月24日の搬入日から,チームメイトたちは時間を捻出して集まってくれました。

夏の日差しが照りつける中,初めての4耐に緊張しながら搬入を済ませ,あっという間に1日が終わりました。

 


 

7月25日にはフリー走行や車検があることもあり,ほぼ全てのチームメイトが集ってくれました。

いつもの顔ぶれが揃ってくると,本当に安心しますし,寂しくないし,頑張ろうって思えます。

片岡と,花戸選手は7月15日から調整し続けているセッティングの最後の詰めをこの日まで引っ張りました。

この日の走行のためにチームの仲間たちは休日に時間を作ってくれて,車両の準備に力を貸してくれました。

また,8耐に参戦する「TransMap Racing」の皆様も,セットや走行についてのアドバイスを沢山授けてくれました。

にも関わらず,片岡も花戸選手も自分のベストタイムにはなかなか及ばず消化不良な走行になりました。

しかし,その中でも特に片岡は今までセットなんてまともに出したこともないままにバイクに乗っていましたが,ある程度セットが固まってくると,あら不思議・・・

怖くないし,超楽に乗れる!!

このような感覚を知ることができただけでも大きな前進かと思いました。

 


 

7月26日にはついに予選です。

正直,ここでハリキリすぎてぽしゃらせてしまうことは避けたい。2人ともある意味初めての緊張感を感じていました。

チームの仲間たちは,それぞれの役割の中で,今自分ができることを目一杯やってくれました。

サインボードを見慣れない片岡のために,サインボードをデコレーションしてくれた希ちゃん,田中くん。

燃費計算や,作戦について最後まで練りに練ってくれている飯嶋さん,高光。

当日までは急いで給油することはなかったけれど,それでも仕事を探しては走り回ってくれた角さん,リキ。

 

そしていつもだけど,片岡と花戸選手が走る車両を一生懸命整備して安心させてくれる拓也。

 

予選はライダーイエローの花戸選手,15時5分からの20分間です。

ここまで練習からおおきなトラブルなく進めてきましたが,ここで耐久レースの厳しさを味わいました。

走行開始早々に集団に飲まれる中,ヘアピンで転倒。

車両は軽症と判断し,花戸選手はそのまま走行を続行します。

花戸選手は予選30位のリザルトを残してくれました。

ここから,平成レーシング自慢の仲間たちの腕の見せ所です。

軽症とはいえ,損傷のあるパーツについては当然交換が必要です。

また,確認のために一度分解してみる部分も何点かありました。

次の片岡の予選開始時間までの猶予は2時間です。

今回はゲストとして駆けつけてくれていた拓也パパも作業に加わってくださいました。

いつも工場でしている作業とは違い,明らかな制限時間があります。

間に合わなければ決勝を走る道は閉ざされてしまいますので,緊張感が一気に高まりました。

 

途中,飯嶋さんがそわそわしている片岡を見つけて,

「普通に走ってた車両をチェックして普通に走れるようにするだけやから黙って座っとけ」

と声をかけに来てくれました。

 

飯嶋さんの言う通り,片岡が走る時間にはしっかりと元どおりの車両を準備してくれました。

片岡は感謝の気持ちを思いっきり表現したくて,自己ベストを叩き出すつもりで走行しましたが,思うようにタイムが出せず,予選31位で終えてしまいました。

総合結果は33位。

後ろの方といえばそうですが,今回の1番の目標は「決勝を完走すること」そしてライダー2人の目標としては「20番以内でチェッカーを受けること」を目標としていたので,そこまで悲観的にはなりませんでした。

それよりもしっかりと気持ちを切り替えて,明日の決勝にコンディションを合わせることを考えました。

 

予選が終わり,日が落ちてくると,当初の予報より少し遅れた雨雲がやってきました。

台風の襲来です。

チームの仲間たちは,これから最終の整備をするから,ライダーは先に帰って明日に備えろ。と言ってくれ,夜遅くまで,雨の鈴鹿サーキットで作業をしてくれました。片岡にはまたひとつ燃える出来事でした


 

7月27日いよいよ待ちに待った決勝です。

台風襲来の影響から,中止も考えられていましたが朝の緊急ブリーフィングをもって開催が宣言されました。

 

片岡は雨足が強くなる空を見て,「絶対チャンスだ!!これは自分たちには恵みの雨だ!!」と思いました。雨のレースが初めての花戸選手にそんなことを言っていると怒られましたが,それでもこれはチャンスという気持ちは変わりませんでした。

スタートのセレモニーが始まる頃にはチームメイトもみんなずぶ濡れでしたが,みんなの真剣な眼差しや,時折見せてくれる笑顔,鈴鹿のル・マン式スタートの舞台に自分たちのチームの車両が並べられていることを目の当たりにして,片岡は既に感動が抑えられませんでした。

TransMap Racingの皆様はじめ,鈴鹿で出会った仲間たちが大雨の中沢山声をかけにきてくださいました。

その全てが片岡にはエネルギーとして,沢山の勇気を与えてもらいました。

いよいよスタートの時です。

もっと緊張するかと思いましたがまずまずのスタートができました。

雨の路面,吹き付ける突風,もう片岡のためのステージやと思いました。

オープニングラップにとにかくアタックすると決めていたので,チャンスがあればとにかく抜くことを考えて走行しました。

確かオープニングラップで20台ほど抜いて,12番手か13番手くらいで帰ってきたと思います。

普段,ドライコンディションでは足元にも及ばない人たちと戦えることが楽しくて,気がつけば一時は8番手を走行することもできました。

しかし,調子に乗りすぎたツケが回ってきました。

スプーンの立ち上がりであわやハイサイドになろうかという痛恨のミス。

しかもこの時に初めてスクリーンをぶち破ってしまいました。

今思えばこれで歯車が狂ってしまいました。

結局10番手で,第2ライダーの花戸選手にタッチ。

 

花戸選手は先述した通り,雨でのレースは初。最悪20番手くらいまで落ちても,次のスティントでまた一桁の順位までねじ込んでやろうと躍起になっていました。

ところが,花戸選手の順位が思っているよりも下がらない。13番手前後で快調に走行しているではないですか。

これはイケる!!下手したら表彰台も狙えるぞ!!

 

そう思っていた矢先でした。好調な花戸選手の走行周回を1周ほどプラスした時に,順位がどんどん下がる・・・

 

チーム内に緊張感がはしる・・・転倒???

情報が把握できるまですこしの時間がかかる。

デグナー1つ目でカメラに映し出されるマシン。

 

ライダーも車両も立ってるぞ!!花戸さんがマシンを押してる!!

帰ってくる!!すぐ修復の準備だ!!

一気にピットがあわただしくなりました。物凄い緊張感です。

片岡はこの間戻ってきて欲しい。もう一度走らせてほしい。完走させてほしい。と祈ることしかできませんでした。

そしてマシンが帰ってきました。転倒ではなくガス欠です。

この時39位

花戸選手の気持ちを考えると,ここで走らなければ絶対ダメだ。死んでももう一回花戸選手に回す。もう一度同じ順位に戻してみせる!!

そう思ってグリッドを出ました。

 

その時は,燃費計算を失敗したとかなんとかで,飯嶋さんや高光がえらく責任を感じてくれていましたが,今思えばあの強風のなか,スクリーンをぶち破ってしまったことで,どれほど無駄な空気抵抗が生まれたのか。

その結果どれほどプラスアルファの燃料消費があったのか。

それも考慮に入れて計算をするというのは今の力では手に負えなかった部分ではあるかと思います。

そう思うと,耐久レースはやはりミスなく走ることが大切だということを勉強するよいきっかけになったと今では思います。

 

さて,第2スティントに入った片岡は,正直自分でも引くくらい燃えていました。

ただ,パッシングは冷静に,1台ずつクリアしていくことに努めました。

途中から雨足がだんだん強くなってきて,周りのペースが明らかに落ちてきました。

 

再びチャンス到来!!

 

そう思った頃に,赤旗・・・

平成レーシングの2019年の挑戦は突然に幕を下ろしました。

結果的に完走はできましたが,チェッカーを見れていないことがすごく悔しいですが,天候の問題だけはどうしようもありません。

2時間40分から先の世界は,また来年以降に持ち越しとなりました。


 

片岡たちライダーが忘れてはいけないのは当然のことながら,観客の皆様含めて,モータースポーツを愛してくれている全ての人に伝えたいことは,今回のレースに参加するにあたって,ライダー以外の人たちの活躍がなければ到底完走に至らなかったということです。

 

バカみたいな大雨の中,自由に動けないピットロードで,ボトボトになりながらサインボードを出し続け,ストップウォッチを押し続ける。帰ってくる度に車両を受け止め,状況確認をする。給油の準備をしてクソ重たいチャージャーを抱え,消火器を持って待機する。毎周毎周のタイムと時間,天気などの情報をみて,作戦を考える。一生懸命走って帰ってきたライダーのサポートをする。

 

こんなこと「ただの友達」では絶対できないと思います。

 

ライダーなんて正直変わりはいくらでもいます。だけど,ライダーが走れるようにサポートしてくれる仲間は変わりなんて誰もいません。

 

昔,あった「ふたり鷹」という耐久レースを題材にしたバイクの漫画の中で,アルダナ選手が,主人公の沢渡鷹選手に

「マシンはオイルを吸って走る。ライダーは仲間の想いを吸って走らなければいけない。」

と諭すセリフがありますが,本当にその通りだと思います。

 

その仲間たちに今回のレースでは自分自身で納得できる十分な感謝の気持ちを伝えることができなかったことが悔しくてたまりません。

 

できることならば,再びリベンジをし,チェッカーフラッグを獲りに行きたいと思いますので,今後も皆様のご協力,ご支援をお願いしたいと思います。

 


《Special Thanks》

Motorcycle pro-shop Rise

(株)美吉金属

FUJICO

RS TAICH

Abobe Original

Bevel Gear

Matunaga Weldings

(株)ナリス化粧品

さくら歯科医院

フォト・ビューロー

ADIK AUTO

魚八庭

焼肉天童

(有)辻自動車工業

Y.Furuno

K.Nakamine

S.Yuasa

K.Morita

T.Maruyama

M.Minoshima

T.Yoshida

N.Morita

Takamitsu Family

Takahara

#Nozaフォト

#Hiroki Terashima

#satoru848evo

#ngs20

TransMap Racing

STAR★CLUB


最後になりましたが,2019年の平成レーシングの鈴鹿4時間耐久ロードレースへの挑戦を1本のムービーにまとめてみました。

お時間ありましたらご覧になっていただけると幸いです。

 

平成レーシング 代表

片岡 亮太

RK
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